こんにちは。PCトラブルマニアックス、運営者の「TAKE」です。
CPUグリスを塗り直そうとしても、「中央に1点」「X字」「ヘラで全面に伸ばす」など方法が分かれていて迷いますよね。先に確認したいのは、すべてのCPUやグリスに共通する一つの塗り方はないという点です。
結論:クーラーにグリスが塗布済みなら追加せず、未塗布ならCPUクーラーまたはグリスの説明書に指定された量と形を優先します。指定どおりに塗った後は、クーラーをまっすぐ載せて均等に固定し、広がりを確かめるために持ち上げないことが重要です。
この記事は、ヒートスプレッダー付きのデスクトップ向けCPUと、一般的な非導電性のサーマルグリスを対象にしています。ノートPC、殻割りしたCPUへの直接塗布、液体金属、相変化シートは作業方法と危険性が異なるため対象外です。
CPUグリスの塗り方は製品指定から決める
CPUグリスの役割は、CPU表面のヒートスプレッダーとクーラー底面にある微細な隙間を埋め、熱を伝えやすくすることです。厚く盛って冷やす材料ではないため、多すぎても少なすぎても適切ではありません。
塗布方法は、CPUの形だけでなく、クーラーの接触面、固定圧、グリスの粘度によっても変わります。次の優先順で確認すると、インターネット上の異なる方法に振り回されにくくなります。
| 確認する順番 | 確認結果 | 選ぶ行動 |
|---|---|---|
| 1.クーラー底面 | グリスが塗布済み | CPU側へ追加せず、そのまま取り付ける |
| 2.CPUクーラーの説明書 | 量や塗布パターンの指定あり | クーラー固有の指定に従う |
| 3.使用するグリスの説明書 | 中央、X字、複数点、ヘラ塗りなどの指定あり | 対象CPUとクーラーに適用できるか確認して従う |
| 4.CPUメーカーの案内 | 上記の指定を確認できない | 対象プラットフォームの公式手順を確認する |
| 5.型番や適用条件が不明 | どの手順を使うべきか判断できない | 推測で塗らず、販売店やメーカーへ確認する |
公式案内でも塗り方は同じではありません。Intelの放熱グリス塗布ガイドは、一般的な手順としてIHS中央へ米粒または豆粒程度を置き、クーラーの圧力で広げる方法を案内しています。一方、AMDのCPUクーラー着脱手順は、スプリングネジ式クーラーの取り付けでCPU表面へ細いX字に塗る方法を示しています。
この違いからも、「Intelなら中央、AMDならX字」とCPUメーカー名だけで決めるのではなく、実際に使うクーラーとグリスの説明書を優先するのが安全です。大型CPUへ通常サイズのCPUと同じ量を当てはめることも避けてください。
作業前に型番と現在の状態を記録する
塗り始める前に、CPUのソケット、CPUクーラー、グリスの製品名を確認します。クーラーの固定方法とCPU_FAN、AIO_PUMPなどの接続先は、写真に残しておくと組み戻すときに迷いにくくなります。
- CPUまたはマザーボードの型番
- CPUクーラーの製品名と取り付け説明書
- グリスの製品名と塗布方法
- クーラー底面にグリスが塗布済みか
- ファン、ポンプ、RGBケーブルの接続先
- 固定ネジ、スペーサー、バックプレートの位置
PCが正常に起動でき、重要なデータをバックアップしていない場合は、先に保存しておきましょう。通常のグリス塗り直しだけでBitLockerの設定を変える必要はありませんが、同時にマザーボードやCPUを交換する場合は回復キーも確認します。
危険:焦げたにおい、煙、火花、液体侵入、溶けた端子、膨張、異常発熱があるPCは、グリス塗り直しを試す前に電源を切り、電源ケーブルを外してください。原因をグリスと決めつけず、メーカーや修理店へ相談します。
CPUクーラーを安全に取り外す
- Windowsを終了し、電源ユニットのスイッチを切って電源ケーブルを抜きます。
- CPUファンやポンプのケーブルを、コネクタ部分を持って外します。
- ネジ式クーラーは、対角線上のネジを少しずつ緩めます。片側だけを一気に外しません。
- 固定レバーやクリップを、クーラーの説明書どおりに解除します。
- 密着している場合は、無理に真上へ引っ張らず、取り外し手順で許可されている範囲で軽く左右へひねってから持ち上げます。
AMDの公式手順では、古いグリスが硬化している場合、可能なら取り外し前にPCを数分動かしてグリスを軟らかくする方法も案内されています。ただし、温度が急上昇する、ファンやポンプが動かない、異臭や液漏れがあるPCでは通電して温めてはいけません。
クーラーと一緒にCPUがソケットから抜けた、CPUがずれた、ピンや接点へグリスが付いた場合は、そのまま押し戻さず作業を止めてください。曲がりや汚れを確認できない状態で再装着すると、CPUやソケットを傷めるおそれがあります。
古いグリスを除去する
- CPUをソケットへ装着したまま、古いグリスを毛羽立ちにくい布で大まかに拭き取ります。
- 残りは、使用する製品の説明に従い、イソプロピルアルコールを少量含ませた毛羽立ちにくい布で拭き取ります。
- クーラー底面も同様に清掃し、繊維や固形物が残っていないか確認します。
- 液体が残っていないことを確認し、完全に乾いてから次へ進みます。
金属工具で削る、家庭用洗剤を直接かける、濡れた状態で取り付ける、ソケットへ液体を流し込む方法は避けてください。CPUを清掃するためだけにソケットから外す必要もありません。
指定された量と形で新しいグリスを塗る
塗る場所は、CPU上面の金属部分であるヒートスプレッダーです。ソケット、CPUの裏面、クーラーの周囲へ塗りません。クーラー側にグリスが塗布済みなら、CPU側への重ね塗りも不要です。
| 説明書の指定 | 塗り方 | 注意点 |
|---|---|---|
| 中央に1点 | 指定された直径または量を中央へ置く | 自分で広げず、固定圧で広げる指定か確認する |
| X字 | 指定どおりの細さと長さで線を引く | 端まで太く引いて、はみ出させない |
| 複数点 | 点の数、位置、直径を説明書に合わせる | 別ソケット向けの図を流用しない |
| ヘラで塗り広げる | 付属ヘラなど指定された道具で薄く覆う | 厚い層や異物、塗り残しを作らない |
| 指定を確認できない | クーラー、グリス、CPUの順に公式資料を探す | 大型CPUや液体金属へ一般的な目安を使わない |
「米粒大」は一部の公式案内にある目安ですが、米粒や豆の大きさには個人差があり、CPUの表面積も同じではありません。製品説明に直径、点の数、線の形が示されている場合は、たとえ見慣れた方法と違っても、その指定を優先します。
クーラーをまっすぐ載せて均等に固定する
- ネジ穴、クリップ、バックプレートの位置を合わせてから、クーラーをCPUへまっすぐ下ろします。
- 接触後は大きく滑らせず、ネジ式なら対角線上を少しずつ締めます。
- 説明書に締め付けトルクや停止位置がある場合は、その指定を守ります。
- CPUファンをCPU_FAN端子へ接続します。簡易水冷のポンプは、クーラーとマザーボードの説明書で指定された端子へ接続します。
広がりを確認するためにクーラーを持ち上げると、密着面へ空気が入り、塗布状態も変わります。一度接触させたクーラーを持ち上げた、取り付け中に大きくずらした、固定をやり直した場合は、古いグリスとして両面を清掃し、新しく塗り直してください。
起動直後は負荷をかけずに取り付けを確認する
ケースを閉じる前に、工具や布が残っていないこと、クーラーが動かないこと、ファンとポンプのケーブルが接続されていることを確認します。電源を入れた直後は高負荷テストを始めず、まず次の状態を見ます。
- CPUファンエラーやポンプエラーが表示されない
- CPUファンまたはポンプが指定どおり動作している
- CPU温度が短時間で上限付近まで上がり続けない
- 突然の電源断や大幅な性能低下が起きない
CPU温度は型番、室温、クーラー、負荷で変わるため、一つの数値だけでは成功と判断できません。確認方法はCPU温度が高いときの正常・異常の見分け方で、CPU固有の上限と負荷を止めた後の変化を組み合わせて解説しています。
| 起動後の状態 | 判断 | 次の行動 |
|---|---|---|
| ファンやポンプが動き、温度が安定する | 経過観察 | 同じ監視方法と同程度の負荷で以前の状態と比較する |
| CPUファンエラーが出る、温度が急上昇する | 使用を続けない | 電源を切り、ケーブル、固定、保護フィルムを再確認する |
| クーラーが傾く、ネジが掛からない、バックプレートが外れた | 取り付け不成立 | 通電せず、対応部品と取り付け手順を確認する |
| CPUが抜けた、ピンが曲がった、ソケットへグリスが入った | 作業中止 | 自分で判断できなければメーカー、販売店、修理店へ相談する |
CPUグリス交換が不要な場合もある
CPUクーラーとCPUの接触面を外していなければ、掃除のたびにグリスを塗り直す必要はありません。通気口、ダストフィルター、ケースファン、CPUファンの表面を清掃しただけなら、クーラー本体を取り外さずに済む場合があります。
温度が気になる場合も、先にホコリ、ファンやポンプの動作、室温、ケースの通気を確認します。外側から始める清掃手順はPCファン掃除の安全なやり方で確認できます。診断前にグリスやクーラーを購入し、必要のない分解を増やさないことも大切です。
CPUグリスを塗るときに避けること
- 塗布済みグリスの上へ別のグリスを追加する
- 古いグリスを残したまま重ね塗りする
- すべてのCPUへ同じ量と形を使う
- 固定していないクーラーを載せただけで通電する
- 広がりを確認するため、取り付け後にクーラーを持ち上げて戻す
- 一般的な非導電性グリスと同じ感覚で液体金属を使う
- 通電中にクーラー、ファン、ケーブルへ触れる
CPUグリスの塗り方の要点
CPUグリスは、中央1点、X字、複数点、ヘラ塗りのどれか一つを全製品へ当てはめるのではなく、クーラーとグリスの説明書から決めます。塗布済みなら追加せず、再利用するクーラーでは古いグリスを両面から除去してください。
塗布後はクーラーを一度でまっすぐ載せ、均等に固定します。起動後にファンやポンプが動かない、温度が急上昇する、エラーや電源断が起きる場合は負荷をかけずに停止し、固定と接続を確認しましょう。CPUやソケットの損傷が疑われる場合は、無理に組み直さず相談するのが安全です。

