BIOSアップデートのやり方|失敗を防ぐ安全な更新手順

USBメモリを接続してマザーボードのBIOS更新画面を表示している状態

BIOSアップデートは、マザーボードの不具合修正や新しいCPUへの対応に必要なことがあります。ただし、更新中に電源が切れたり、別モデル用のファイルを使ったりすると、PCが起動しなくなる危険があります。

この記事では、Windowsが起動する自作PCを基準に、USBメモリとUEFIの更新機能を使う安全な手順を解説します。メーカーや機種によって画面名・ファイル名・必要な操作が違うため、実際に作業するときは必ず対象製品の公式マニュアルを優先してください。

USBメモリを接続してマザーボードのBIOS更新画面を表示している状態

結論:PCが安定していて、更新履歴に自分が必要とする修正がなければ、無理にBIOSを更新する必要はありません。更新する場合は、型番とリビジョンの確認、BitLocker回復キーの保存、安定した電源、正しい更新ファイルの4点をそろえてから始めます。

スポンサーリンク

BIOSアップデートが必要か最初に判断する

BIOSは、PCの電源を入れた直後にCPU・メモリ・ストレージなどを初期化するファームウェアです。更新はWindowsの通常アップデートより失敗時の影響が大きいため、「新しい版がある」という理由だけで実行しないほうが安全です。

更新を検討するケース

  • 交換予定のCPUに、現在のBIOSが対応していない
  • メーカーの更新履歴に、自分の症状を直す内容が明記されている
  • 重要なセキュリティ修正や安定性改善が案内されている
  • メーカーのサポートから更新を指示された

いったん更新を見送るケース

  • PCが正常で、更新内容も自分の構成に関係しない
  • マザーボードの正確な型番やリビジョンが分からない
  • フリーズ・突然の再起動・電源不良など、PC自体が不安定
  • 停電や電源断の可能性が高い
  • ベータ版しか公開されていない

起動しない原因が設定の破損だけなら、BIOS更新ではなくCMOSクリアで改善する場合があります。CPU・DRAMランプが点灯している場合は、先にCPU・DRAMランプの切り分けを行ってください。

スポンサーリンク

更新前に準備するものと確認事項

作業を始める前に、次の項目をすべて確認します。ひとつでも不明な場合は、更新ファイルを選ぶ前に止めるのが安全です。

WindowsセキュリティのデバイスセキュリティでTPMとセキュアブートを確認
TPMとセキュアブートは有効ですが、コア分離のメモリ整合性はオフと表示された撮影環境です。
Confirm-SecureBootUEFIの結果がTrueの画面
管理者PowerShellでConfirm-SecureBootUEFIを実行し、Trueと表示された撮影例。
Get-TpmとConfirm-SecureBootUEFIでTPMとセキュアブートを確認
TPMはPresent/Ready/Enabled/ActivatedがTrue、Confirm-SecureBootUEFIもTrueと表示された撮影例。
デバイスマネージャーのセキュリティデバイスでTPM 2.0を確認
デバイスマネージャーの「セキュリティ デバイス」にトラステッド プラットフォーム モジュール 2.0が表示された画面。
確認項目 見る場所・理由
正確な製品名 基板上の印字、製品箱、UEFI画面、メーカー製PCの型番ラベルで確認
リビジョン 同じ製品名でもRev.違いで更新ファイルが異なることがある
現在のBIOS版 UEFIのMain/System Information、またはWindowsの「システム情報」で確認
更新履歴 公式サポートページで対象CPU・不具合・注意事項を確認
回復手段 BIOS FlashBack、Flash BIOS Button、Q-Flash Plusなどの有無をマニュアルで確認
BitLocker回復キー 更新後に回復キーを求められる場合に備えて別端末や紙にも保存

型番とリビジョンを一致させる

BIOSファイルは、メーカー名が同じでも流用できません。似た製品名、Wi-Fiの有無、末尾の文字、基板リビジョンまで一致することを確認します。完成品PCやノートPCは、マザーボード単体メーカーではなくPCメーカーの機種別サポートページから入手してください。

PowerShellでBIOS 9013とリリース日2021年8月24日を確認
American Megatrends Inc.、BIOSバージョン9013、ReleaseDate 2021-08-24の実行結果。

BitLocker回復キーを保存して保護を一時停止する

Windows 11では、ユーザーが意識していなくてもデバイス暗号化やBitLockerが有効な場合があります。BIOS/UEFIの変更後に回復画面が出ることがあるため、先に48桁の回復キーを確認して保存します。

manage-bde statusでCとDのBitLocker保護がオフの結果
BIOS更新前の確認例。C/Dとも暗号化0.0%、保護はオフ、ロック解除と表示されています。回復キーは表示していません。
  1. Windowsで「BitLockerの管理」を開く
  2. OSドライブの「回復キーのバックアップ」を実行する
  3. 回復キーを別の端末、Microsoftアカウント、印刷物などPC外にも保存する
  4. メーカー手順で必要とされる場合は「保護の中断」を選ぶ
  5. 更新とWindows起動の確認後に「保護の再開」を行う

Microsoftは、Windows Updateを経由しないUEFI/BIOS更新ではBitLockerの一時停止が必要になる場合があると案内しています。回復キーが確認できない状態では、更新を始めないでください。

安定した電源とUSBメモリを用意する

  • デスクトップPCは、可能ならUPS(無停電電源装置)を使う
  • ノートPCはACアダプターを接続し、バッテリーを十分に充電する
  • USBメモリ内の必要なデータを退避してから、メーカー指定のFAT32形式にする
  • オーバークロック、XMP、EXPOなどは標準設定へ戻す
  • 現在の起動順序、ストレージモード、ファン設定を写真に残す

USBメモリのフォーマットは中のデータを消去します。保存先を間違えないよう、対象ドライブの容量と名前を必ず確認してください。

USBメモリでBIOSを更新する安全な手順

多くのマザーボードには、UEFI内から更新する機能があります。名称はASUSのEZ Flash、MSIのM-FLASH、GIGABYTEのQ-Flash、ASRockのInstant Flashなどです。以下は共通する流れであり、細部は各機種のマニュアルに従います。

1. 公式サイトから対象ファイルを入手する

  1. メーカー公式サポートページで、製品名とリビジョンを検索する
  2. BIOS/UEFIの更新履歴と注意事項を読む
  3. 現在の版から目的の版へ直接更新できるか確認する
  4. 対象製品のファイルだけをダウンロードする

途中の版を先に入れる必要がある製品や、特定のドライバー・ファームウェア更新を先に求める製品もあります。更新履歴に「先に○○を実行」と書かれている場合は、その順番を変えないでください。

2. USBメモリへ更新ファイルを保存する

ダウンロードしたZIPファイルを展開するか、そのまま使うかは製品によって異なります。ファイル名変更ツールが同梱されている機種や、USBメモリの最上層へ指定名で置く機種もあります。自己判断で拡張子や名前を変えず、公式手順どおりに準備します。

3. UEFIの更新機能を起動する

ASUS EZ Flash 3 Utilityの初期画面でマザーボードとBIOSバージョンを確認
ASUS EZ Flash 3 Utilityの更新開始前の画面。PRIME H570-PLUS、BIOSバージョン9013、日付2021年8月24日を確認できます。

実機で確認:検証したASUS PRIME H570-PLUSでは、更新ファイルを選ぶ前のEZ Flash 3画面で現在のBIOSが9013、日付が2021年8月24日と確認できました。この画面が開けることと更新が必要なことは別なので、製品名と現在版を確認してから公式の更新履歴と照合します。

  1. USBメモリをPCへ接続する
  2. 再起動し、起動直後にDeleteまたはF2キーを押してUEFIへ入る
  3. EZ Flash、M-FLASH、Q-Flash、Instant Flashなどを開く
  4. USBメモリ内の更新ファイルを選ぶ
  5. 表示された製品名と更新前後のバージョンを再確認する
  6. 問題がなければ更新を開始する

更新ファイルが一覧に出ない場合は、ファイル形式、展開の有無、保存場所、USBの形式、製品名が違う可能性があります。認識しない状態で別のツールを使って無理に書き込まないでください。

4. 完了するまで一切操作しない

更新中は、電源を切らない・リセットしない・USBメモリを抜かない・キーやボタンを押さないでください。画面が一時的に消える、ファン速度が変わる、複数回再起動することがあります。メーカーが完了を表示するまで待ちます。

進行表示が止まったように見えても、すぐに電源を切るのは危険です。メーカーの案内時間を超えても変化がない場合は、別の端末で製品マニュアルやサポート情報を確認してから判断します。

更新後に確認すること

更新直後の初回起動は、メモリの再学習などで通常より長くかかることがあります。画面がすぐ出なくても、電源の入れ直しを繰り返さず数分待ってください。

  1. UEFIへ入り、BIOSバージョンが目的の版になったか確認する
  2. 日時、起動順序、ストレージモードを確認する
  3. Windowsが正常に起動するか確認する
  4. BitLockerを中断していた場合は保護を再開する
  5. XMP/EXPO、ファン制御などは一度に戻さず、ひとつずつ設定して安定性を見る

更新後にメモリ容量が減った場合は、メモリを認識しないときの確認手順を参照してください。M.2 SSDが表示されない場合は、M.2 SSDを認識しない原因と対処法でストレージモードやスロット条件を確認できます。

画面が映らないPCでFlashbackを使う場合

一部のマザーボードには、CPUやメモリを認識できない状態でも、電源ユニットとUSBメモリを使ってBIOSを書き直せる機能があります。ASUS BIOS FlashBack、MSI Flash BIOS Button、GIGABYTE Q-Flash Plusなどです。

便利な機能ですが、すべての製品が対応しているわけではありません。また、指定USBポート、ファイル名、ボタンを押す時間、LEDの点滅状態が機種ごとに違います。通常のUEFI更新よりも製品マニュアルへの依存が大きい手順なので、共通手順だけで実行しないでください。

  • 製品仕様にFlashback系機能があることを確認する
  • 指定されたUSBポートだけを使う
  • 付属ツールまたは説明書どおりにファイル名を変更する
  • LEDが点滅中は電源やUSBへ触れない
  • LEDが数秒で消える、点灯し続ける場合は、失敗状態の意味をマニュアルで確認する

VGAランプが点灯して画面が映らない場合は、BIOS更新を始める前にVGAランプ点灯時の切り分けも確認してください。

BIOSアップデートに失敗したときの対処

更新後に起動しない場合は、慌てて何度も電源を入れ直さず、次の順に確認します。

  1. 初回起動に時間がかかっていないか十分に待つ
  2. マザーボードの診断LEDやビープ音を記録する
  3. 電源を切ってから、製品手順に従ってCMOSクリアを行う
  4. FlashbackやDual BIOSがある場合だけ、公式の復旧手順を確認する
  5. 復旧機能がない、または書き込みが完了しない場合はメーカーサポートへ相談する

診断LEDの意味が分からない場合は、PCが起動しないときの総合チェックから症状別に切り分けられます。別モデル用ファイルを強制的に書き込むことや、根拠のない電源断は避けてください。

メーカー別の公式更新機能

メーカー UEFI内の主な機能名 画面なしで更新する主な機能名
ASUS EZ Flash BIOS FlashBack
MSI M-FLASH Flash BIOS Button
GIGABYTE Q-Flash Q-Flash Plus
ASRock Instant Flash BIOS Flashback(対応製品)

同じメーカーでも世代や製品によって手順は変わります。下記の公式情報と、対象マザーボードのサポートページ・取扱説明書を併用してください。

まとめ

BIOSアップデートで最も大切なのは、更新操作そのものよりも事前確認です。更新が本当に必要か判断し、正確な型番とリビジョンに合う公式ファイルを使い、BitLocker回復キーと安定した電源を用意します。

更新中は何も操作せず、完了後は初回起動を十分に待ってから設定を確認します。不明点が残る場合は作業を止め、製品マニュアルやメーカーサポートへ確認することが、起動不能を避ける最短ルートです。

この記事を書いた人
TAKE

PCトラブルマニアックス運営者のTAKEです。PCファン、グラボ、マザーボード、電源などのトラブルについて、公式情報を確認しながら初心者向けに整理しています。故障と決めつけず、安全な確認手順から分かりやすく解説します。

TAKEをフォローする

この記事で解決しなかった・内容の違いを見つけた方へ

PCの型番、表示されたエラー、試した手順などをお知らせください。個別の診断や修理を保証するものではありませんが、内容を確認し、記事の修正や追記に役立てます。

症状・記事の誤りを知らせる

マザーボード
スポンサーリンク