CMOSクリアのやり方|ボタン電池・ピン・ボタン別の安全手順

電源ケーブルを外したマザーボードのCMOS電池とクリアCMOS用ジャンパー

こんにちは。PCトラブルマニアックス、運営者の「TAKE」です。

BIOS設定を変更したあとにPCが起動しなくなった、メモリ交換後から画面が映らない、CPU・DRAM・VGAなどの診断ランプが消えない。このようなとき、対処候補としてよく挙がるのが「CMOSクリア」です。

CMOSクリアは、マザーボードに保存されているBIOS・UEFIの設定を初期状態へ戻す作業です。WindowsやSSD内の写真・文書を消す操作ではありませんが、起動順、メモリ設定、ファン設定などが初期化されるため、手順を間違えると起動できない状態が続くことがあります。

この記事では、CMOSクリアが必要な症状、作業前の安全確認、CLEAR CMOSボタン、CLRTC・JBAT1・CLR_CMOSピン、ボタン電池を使う方法、作業後に戻す設定まで順番に解説します。

  • CMOSクリアで消える設定・消えないデータ
  • 作業前に確認するBitLocker回復キーと現在のBIOS設定
  • ボタン・ピン・ボタン電池による3つの実施方法
  • 初回起動が遅い場合と、直らない場合の判断方法

先に結論です。PCの電源を切り、電源ユニットのスイッチをオフにして、コンセントから電源ケーブルを抜いてから作業します。端子名、短絡するピン、押す時間や待ち時間はマザーボードによって異なるため、型番別の取扱説明書を必ず優先してください。場所が分からないピンを推測で短絡してはいけません。

電源ケーブルを外したマザーボードのCMOS電池とクリアCMOS用ジャンパー

重要:BIOS設定の変化によってBitLocker回復キーを求められる場合があります。Windowsへ入れる状態なら、CMOSクリアの前に回復キーを確認し、現在の起動順やストレージ設定も写真に残してください。焦げ臭いにおい、液漏れ、溶けた端子などがある場合は通電や分解を続けず、修理相談へ切り替えます。

スポンサーリンク

CMOSクリアとは

CMOSクリアとは、マザーボードのCMOS RTC RAMなどに保存されたBIOS・UEFI設定を初期化する作業です。メーカーや製品によって、Clear CMOS、CLR_CMOS、CLRTC、CLRMOS、JBAT1などの表記が使われます。

設定を変更したことが原因でPOST(電源投入時の自己診断)が止まっている場合、CMOSクリアによって既定値へ戻すと起動できることがあります。一方、部品の物理故障、電源コネクタの挿し忘れ、対応していないCPU、壊れたメモリなどを修復する機能ではありません。

初期化される可能性がある設定

初期化される項目は製品によって異なりますが、一般的には次の設定を再確認します。

項目 CMOSクリア後の確認 注意点
日付・時刻 現在日時へ合わせる 自動で補正される製品もあります
起動順 Windows Boot ManagerやOS用SSDを確認 別のドライブが先頭になると起動できない場合があります
XMP・EXPO まず無効の既定状態で起動確認 安定動作を確認してから再設定します
ファン制御 CPUファン・ポンプ・ケースファンを確認 独自のファンカーブは失われる場合があります
Secure Boot・CSM 以前の構成と起動方式を確認 不用意な変更はBitLockerや起動に影響します
SATA・ストレージモード AHCI・RAIDなど以前の設定を確認 変更するとWindowsが起動しない場合があります
仮想化・内蔵機能 必要な機能だけ再設定 仮想環境や周辺機能へ影響することがあります

WindowsやSSD内のデータは消えない

CMOSクリアは、通常はSSDやHDDの初期化ではありません。Windows、アプリ、写真、文書などの保存データを削除する操作ではなく、BIOSのバージョンを古い状態へ戻す操作でもありません。BIOSのバージョンを更新する作業とも別なので、更新が必要な場合はBIOSアップデートの安全な手順を確認してください。

ただし、起動順やストレージモードが変わると、データが残っていてもWindowsを起動できなくなることがあります。慌ててWindowsを再インストールせず、先にBIOS設定とドライブ認識を確認してください。

スポンサーリンク

CMOSクリアを試す症状

CMOSクリアは、BIOS設定やハードウェア構成の変更をきっかけに、POSTが完了しなくなった場合に有効なことがあります。

  • XMP・EXPOやオーバークロック設定後から起動しない
  • メモリ交換後から画面が映らない
  • CPU交換後にCPU・DRAMランプが消えない
  • 誤ったBIOS設定を保存してBIOS画面にも入れない
  • VGA・BOOTなどの診断ランプが点灯したままになる
  • マザーボードの取扱説明書やメーカーサポートから実施を案内された

CPU・DRAMランプが点灯する場合は「マザーボードのCPU・DRAMランプが点灯する原因と対処法」、メモリだけを認識しない場合は「メモリを認識しない原因と安全な対処法」もあわせて確認してください。

Windowsだけの不具合では最初に行わない

BIOS画面やメーカーロゴまでは正常に表示され、Windows上のアプリだけが動かない場合は、CMOSクリアの優先度は高くありません。Windows Update、ドライバー、アプリ、ストレージなど、症状に直接関係する項目から確認します。

BIOS画面へ入れるなら、物理的なCMOSクリアの前に「Load Optimized Defaults」「Load UEFI Defaults」など、製品マニュアルで案内されている既定値の読み込みを試せる場合があります。

作業前に必ず確認すること

マザーボードの型番と取扱説明書を確認する

同じメーカーでも、CMOSクリア端子の名称、位置、ピン数、短絡時間は製品ごとに異なります。マザーボードの基板上や購入記録で型番を確認し、メーカー公式サイトから型番別マニュアルを開いてください。

マニュアル内では「CMOS」「Clear CMOS」「CLR_CMOS」「CLRTC」「CLRMOS」「JBAT1」などの語で検索します。マニュアルに載っていない端子や、似た位置にある別のピンを推測で触らないでください。

BitLocker回復キーを確認する

BIOS・UEFIの起動設定が変化すると、Windowsのデバイス暗号化やBitLockerが回復キーを要求する場合があります。Windowsへ入れる状態なら、暗号化の有無と48桁の回復キーを確認し、別の端末や紙など、対象PCが起動しなくても見られる場所へ保管します。

Microsoftは、ハードウェアや起動構成の変化によって回復キーが必要になる場合があると案内しています。回復キーを紛失した状態で作業を急がないでください。

現在のBIOS設定を記録する

BIOS画面へ入れる場合は、スマートフォンで次の項目を撮影しておくと復旧しやすくなります。

  • 起動順とWindows Boot Managerの選択状態
  • SATA・RAID・AHCIなどのストレージ設定
  • Secure Boot、CSM、TPMに関する設定
  • XMP・EXPOやメモリ周波数
  • CPUファン、ポンプ、ケースファンの設定

電源を完全に切って放電する

  1. Windowsをシャットダウンします。
  2. 電源ユニット背面のスイッチを「O」側へ切ります。
  3. コンセントからPCの電源ケーブルを抜きます。
  4. 電源ケーブルを抜いた状態でPCの電源ボタンを数秒押し、残った電気を放電します。
  5. 金属製ケースの塗装されていない部分へ触れるなど、静電気対策をしてから作業します。

電源ケーブルを接続したままピンを短絡したり、通電中にボタン電池を外したりしないでください。ノートPCやメーカー製一体型PCは内部バッテリーを搭載し、分解条件も異なります。デスクトップPC向けの手順をそのまま使わず、製品メーカーの案内を優先します。

CMOSクリアの方法は3種類

方法 向いている製品 難易度 主な注意点
CLEAR CMOSボタン 背面や基板上に専用ボタンがある製品 低い BIOS Flashbackボタンと間違えない
CMOSクリアピン CLRTC・JBAT1・CLR_CMOS端子がある製品 型番別マニュアルで正しいピンを特定する
ボタン電池を外す 専用ボタンや端子を使えない場合 固定爪や電池ホルダーを壊さない

複数の方法に対応している場合でも、すべてを続けて行う必要はありません。マニュアルで最初に案内されている方法を1つ実施し、結果を確認します。

方法1:CLEAR CMOSボタンを使う

高機能なマザーボードでは、リアI/Oパネルや基板上に「CLEAR CMOS」「CLR_CMOS」などの専用ボタンがあります。ケースを大きく分解せずに操作できる場合があります。

  1. PCをシャットダウンし、電源ユニットをオフにします。
  2. コンセントから電源ケーブルを抜きます。
  3. マニュアルでCLEAR CMOSボタンの位置を確認します。
  4. マニュアルに指定された時間だけボタンを押します。
  5. ボタンから手を離し、電源ケーブルを戻して起動します。

リアI/Oには、BIOS Flashback、電源、リセット、Wi-Fiアンテナなど別のボタンや端子が並ぶことがあります。名称を確認せずに押さないでください。ASUSの一部製品では5~10秒などの例がありますが、時間は型番別マニュアルを優先します。

方法2:CLRTC・JBAT1・CLR_CMOSピンを使う

マザーボード上の2本または3本のピンを利用してCMOSを初期化する方法です。ピンの近くにCLRTC、JBAT1、CLR_CMOS、CLRMOSなどの印字がありますが、小さく見えにくいためライトで照らし、マニュアルの基板図と照合します。

2ピン端子を短絡する場合

  1. 電源を切り、電源ケーブルを抜いて放電します。
  2. マニュアルでCMOSクリア用の2ピン端子を特定します。
  3. ジャンパーキャップ、または先端が他の部品へ触れないドライバーなど、マニュアルで認められた導電物を2本のピンへ同時に触れさせます。
  4. 指定された時間が経過したら、導電物を完全に外します。
  5. 短絡が解除されていることを確認してから、電源を戻して起動します。

メーカー公式手順でも数秒、5~10秒、30秒など製品によって案内が異なります。「CMOSクリア端子らしい」という見た目だけで短絡せず、端子名と時間の両方を確認してください。

3ピンジャンパーの場合

3ピン式は、通常位置の2本に付いているジャンパーキャップを、クリア位置の2本へ一時的に移動する方式があります。指定時間が経過したら、必ず元の通常位置へ戻します。

クリア位置のまま電源を入れると正常に起動できない場合があります。作業前にピン1・2・3の位置を撮影し、元の取り付け位置が分かるようにしてください。

方法3:CMOSボタン電池を外す

専用ボタンや端子が使えない場合は、マザーボード上のCR2032などのボタン電池を一時的に外す方法があります。グラボやカバーに隠れている場合は、無理に工具を差し込まず、必要に応じて部品を安全に取り外します。

  1. 電源を切り、電源ケーブルを抜いて放電します。
  2. 電池の「+」面の向きと固定方法を撮影します。
  3. 電池ホルダーの固定爪を軽く動かし、電池を外します。
  4. マニュアルで指定された時間だけ待ちます。
  5. 元と同じ向きで電池を確実に取り付けます。
  6. 周囲に工具を残していないことを確認し、電源を戻します。

待ち時間は製品によって異なり、メーカー案内には5分や10分などの例があります。数秒だけ外して戻すのではなく、型番別の手順に従ってください。電池がケーブル接続式、はんだ付け式、カバー内にある場合は無理に外しません。

ボタン電池の寿命や交換判断については「マザーボードのボタン電池(CR2032)の寿命と交換時期」で詳しく解説しています。

CMOSクリア後の初回起動で確認すること

TPM管理でTPMは使用する準備ができていますを確認
TPM管理画面。仕様バージョン2.0、製造元INTC、TPMは使用する準備ができていますと表示された撮影例。

初回起動は通常より長く待つ

CMOSクリア後は、メモリトレーニングや機器の再検出により、画面が表示されるまで通常より時間がかかる場合があります。特にメモリ容量が多い構成や、メモリ設定を初期化した直後は、数回再起動する製品もあります。

焦げ臭さや異常な発熱がなく、マニュアルでも待機が案内されている場合は、すぐに電源ボタンを連打したり強制終了を繰り返したりせず、製品の案内に従って待ちます。

BIOS画面で必要な設定だけ戻す

  1. 起動時にDeleteキーやF2キーを押し、BIOS・UEFI画面へ入ります。
  2. CPU、メモリ、SSDが認識されているか確認します。
  3. 日付・時刻とWindows Boot Managerの起動順を確認します。
  4. ストレージモードが以前の設定と一致しているか確認します。
  5. 設定を保存して再起動し、まず既定状態でWindowsの起動を確認します。

XMP・EXPO、オーバークロック、細かな電圧設定はすぐに戻さず、既定状態で安定するかを先に確認します。問題が再発した場合に、どの設定が原因か判断しやすくなります。

BitLocker回復画面が出た場合

回復キーを求められた場合は、事前に確認した48桁のBitLocker回復キーと、画面に表示されたキーIDを照合します。推測で数字を入力したり、ドライブの初期化やWindowsの再インストールを急いだりしないでください。

CMOSクリアしても起動しない場合

CMOSクリアで直らない場合、設定以外の原因を順番に切り分けます。

  1. 24ピン主電源とCPU補助電源が奥まで接続されているか確認します。
  2. メモリを1枚だけ推奨スロットへ挿し直します。
  3. 映像ケーブルの接続先と、グラボ補助電源を確認します。
  4. SSDやUSB機器などを外し、最小構成でPOSTするか確認します。
  5. CPUが現在のBIOSバージョンに対応しているか確認します。
  6. 診断LEDやビープ音を記録し、該当部品を切り分けます。

VGAランプが消えない場合は「マザーボードのVGAランプが点灯する原因」、BOOTランプの場合は「マザーボードのBOOTランプの意味と直し方」を確認してください。

複数の症状があり、どの記事から確認すべきか迷う場合は「PCトラブル症状診断」から、現在の状態に近い項目を選べます。部品交換前の最終確認は「マザーボード故障診断」も参考にしてください。

CMOSクリアのよくある質問

CMOSクリアでデータは消えますか?

通常はWindowsやSSD・HDD内のファイルは消えません。初期化されるのは主にBIOS・UEFI設定です。ただし、起動順やストレージモードが変わるとWindowsを起動できなくなる場合があるため、以前の設定を記録しておきます。

何秒短絡すればよいですか?

製品によって異なります。メーカー公式資料でも数秒、5~10秒、30秒など案内が分かれます。一般論だけで決めず、型番別マニュアルに記載された時間を守ってください。

CMOSクリアでBIOSパスワードは消えますか?

デスクトップ向けマザーボードでは設定情報の一部として初期化される製品がありますが、ノートPCや法人向けPCなどでは、セキュリティ情報が別の領域に保存され、消えない場合があります。所有者確認を含め、製品メーカーのサポートへ相談してください。

CMOSクリアとボタン電池交換は同じですか?

目的が異なります。CMOSクリアは設定を初期化する作業で、電池交換は時刻が戻る、設定を保持できないなど、電池の消耗に対処する作業です。電池が正常なら、CMOSクリアのためだけに新品へ交換する必要はありません。

BIOSアップデート後は毎回CMOSクリアしますか?

毎回必要とは限りません。ASRockなどは、正常に動作している場合は不要で、BIOS更新直後のCMOSクリアを避けるよう案内している例があります。更新後に一度正常起動させるなど、メーカーと型番別の手順を優先します。

参考にした公式情報

まとめ

CMOSクリアは、BIOS設定の変更やハードウェア交換後にPOSTが止まった場合、設定を初期状態へ戻して切り分ける方法です。Windowsや保存データを直接削除する操作ではありませんが、起動順、XMP・EXPO、ファン制御、ストレージモードなどが初期化される可能性があります。

  • 最初に型番別マニュアルとBitLocker回復キーを確認する
  • 電源を切り、電源ケーブルを抜いて放電してから作業する
  • ボタン、ピン、ボタン電池のうち、マニュアル指定の方法を1つ使う
  • 短絡するピンと時間を推測しない
  • 初回起動後は、まず既定状態で安定するか確認する
  • 直らない場合は電源・メモリ・CPU・グラボを順番に切り分ける

通電中の作業や、場所が分からないピンの短絡は危険です。マニュアルで場所を特定できない場合や、焦げ・液漏れ・破損がある場合は無理に作業を続けず、メーカーまたは修理業者へ相談してください。

この記事を書いた人
TAKE

PCトラブルマニアックス運営者のTAKEです。PCファン、グラボ、マザーボード、電源などのトラブルについて、公式情報を確認しながら初心者向けに整理しています。故障と決めつけず、安全な確認手順から分かりやすく解説します。

TAKEをフォローする

この記事で解決しなかった・内容の違いを見つけた方へ

PCの型番、表示されたエラー、試した手順などをお知らせください。個別の診断や修理を保証するものではありませんが、内容を確認し、記事の修正や追記に役立てます。

症状・記事の誤りを知らせる

マザーボード
スポンサーリンク